「日本ワインって、昔はあまり美味しくないイメージだったけど、最近すごく美味しくなったよね!」そう感じている方、多いのではないでしょうか。実は、ここ数年で日本ワインは飛躍的な進化を遂げ、世界からも注目される存在になっているんです。今回は、日本ワインが美味しくなったその理由を深掘りしていきましょう。
🌱 日本の気候風土に適したブドウ栽培の確立
ワインの味の9割はブドウで決まると言われるほど、原料のブドウは重要です。かつて日本は、ワイン用ブドウの栽培には適さないとされていました。しかし、長年の研究と努力によって、日本の気候風土に合ったブドウ栽培の方法が確立されてきたのです。
- 試行錯誤の歴史 明治時代にワイン造りが始まって以来、日本はヨーロッパやアメリカのブドウ品種を導入し、栽培を試みてきました。しかし、高温多湿な日本の気候は、乾燥した土地を好むブドウの生育には厳しい環境でした。
- 「宿命的風土論」からの脱却 「日本はワイン用ブドウ栽培には向かない」というネガティブな空気さえあった時代もありましたが、造り手たちの「宿命的風土論」を打ち破ろうとする熱意が、栽培方法の改善へと繋がりました。
- 緻密な栽培技術の向上 病害虫対策や土壌改良、そしてブドウが適切に熟すための日照管理など、日本のブドウ栽培技術は目覚ましく進歩しました。これにより、以前は難しかった高品質なブドウの収穫が可能になりました。
🔬 進化した醸造技術とたゆまぬ探求心
ブドウの品質向上に加え、醸造技術の進歩も日本ワインの美味しさを支える大きな要因です。
- 温度管理と発酵技術の洗練 醸造における温度管理や発酵技術が向上したことで、ブドウの持つ繊細な風味を最大限に引き出し、質の高いワインを造ることができるようになりました。
- 「日本庭園のようなワイン造り」 1998年にはシャトー・マルゴーの総責任者ポール・ポンタリエ氏が「日本庭園のようなワイン造りを目指せ」とアドバイスしました。これは、単に外国の真似をするのではなく、日本の風土に合わせた調和の取れたワイン造りを目指すという、現在の日本ワインの方向性を示すきっかけとなりました。
- 若手醸造家の活躍と地域ごとの多様性 近年は、従来の枠にとらわれない自由な発想でワインを造る若手の醸造家も増え、多様なスタイルの日本ワインが生まれています。北は北海道、南は九州まで、各地域の気候や土壌の特性を活かしたワイン造りが進められ、日本ワインは非常に多様性に富んだものとなっています。例えば、冷涼な北海道ではキリっとした酸味のワインが、九州ではトロピカルな果実味のワインが造られるなど、地域ごとの個性が際立っています。
🍷 「日本ワイン」の定義と法整備
2018年には「日本ワイン」の定義が新たに設けられました。これは「国産ブドウを100%使用し、日本国内で製造された果実酒」と定められ、輸入ブドウで造られた「国内製造ワイン」とは明確に区別されるようになりました。この法整備は、造り手の意欲を高め、日本ワイン全体の品質向上をさらに後押ししています。
🥂 日本食との相性の良さ
日本ワインが注目される理由の一つに、日本食との素晴らしい相性があります。繊細な出汁の風味や魚介の旨味といった日本料理の繊細で複雑な持ち味を、日本ワインの持つ奥ゆかしい味わいが引き立てます。軟水という日本独特のお水の環境もマッチします。和食とのペアリングを意識したワイン造りも盛んになり、食卓を豊かに彩る存在として、その地位を確立しつつあります。
まとめ
かつては「あまり美味しくない」という声もあった日本ワインですが、気候風土に適したブドウ栽培技術の確立、醸造技術の進化、若手を含む造り手たちの情熱、そして法整備による品質基準の明確化といった様々な要因が重なり合い、目覚ましい進化を遂げました。世界からも高い評価を受けるようになり、日本ワインは今、まさに新時代を迎えています。
⚠️20歳未満の飲酒は法律で禁じられています。